6月14日発行 下野新聞に「負けないコロナ 県民の日メッセージ」 メッセージ掲載 
下野新聞より:
当たり前に思えた日常を大きく変えた新型コロナウイルス。自粛解除後もそれぞれが「できること」を模索しながら。ウイルスと”共存”する生活が続く。
新しい日常とどう向き合い、乗り越えていくかー。15日の県民の日を前に、各界で活躍する本県ゆかりの著名人にメッセージを寄せてもらった。
 
 
逆境こそ「生」突き詰める
コロナ禍の中で制作した作品の一つを皆さんに紹介します。「生 2020」です。副題は「今」です。
半年前、誰もが今の状況を想像できなかったのではないでしょうか。私もその1人です。東京五輪・パラリンピックの公式アートポスターを担当しましたが、3月以降、走者に選ばれていた聖火リレーは順延。題字を担当したオリパラの公式文化プログラムの開幕企画も中止され、最後にはオリパラも延期されました。国内外の感染状況を知るたびに、不安や恐怖で心が荒むのを感じました。これまでの常識が奪われ、どう生きるべきか答えが見つからない日々が続きました。心を取り戻すべく、己の当たり前や原点を見つめ直しました。日課であるランニングや筆を持つこと、表現することにこれまで以上に集中しました。不満や苦しみを嘆くのではなく、「自分を生きる」ことで今の難局を乗り越えるー。従来とは違う境地の中で仕上げられたのが「生」です。誰もが苦しみ、心を痛め、未来のために頑張っています。逆境だからこそ、私は「生」の意味を深く突き詰めたい。その意味は誰にも分からないように思えますが、実は各個人が既にそれぞれの答えを持ち合わせている気がしてなりません。

 

 
 
「生 2020」 137-140cm
 
表装協力:湯山春峰堂