下野新聞・文化面「岡本太郎VS柿沼康二 TRANCE-MISSION」掲載

2011年12月25日 下野新聞・文化面にて

「岡本太郎VS柿沼康二 TRANCE-MISSION」が紹介されました。

岡本太郎の言葉を揮毫し美術本 書家・柿沼康二さん(矢板出身) (12月25日)

 
 矢板市出身の書家柿沼康二さん(41)が世界的芸術家岡本太郎(1911~96)の言葉を揮毫した美術本「岡本太郎VS柿沼康二 TRANCE-MISSION」(NIGENSHA刊)を出版した。岡本の生誕100周年記念事業の一環。「芸術は爆発だ」などの名言が、柿沼さんが岡本とせめぎ合い生み出した肉筆文字の表現によって鮮烈に迫ってくる。

昨年11月からことし2月まで、東京・南青山の岡本太郎記念館で岡本の踊るような字「遊ぶ字」を使った展覧会を開いた柿沼さん。今回の出版は、それに続く岡本とのコラボになった。いずれも同記念事業のゼネラルプロデューサーを務める同館の平野暁臣館長の誘いによる。

同書は、岡本の言葉のタイポグラフィと、それをそしゃくし制作した柿沼さんの書作品を交互に掲載。柿沼さんが書き下ろした約200点の中から約40点を収めた。トランスワークや現代文体、一字書などを幅広く盛り込んだ柿沼さんの最新作品集にもなっている。

最初に登場する「芸術は爆発だ」は、黒地に赤い文字で緊張感がみなぎる表現。「芸術は呪術である」や「道がない」は、遊ぶ字的に表した。淡墨で仕上げた「宇宙」は「書家としての自分だけなら絶対に書かなかった言葉」というが、500枚ぐらい書き、最も思い入れがあるという。

展覧会では岡本を理解するために「遊ぶ字」の膨大な臨書に取り組んだ。今回も過労で入院するほど、岡本の言葉や著書と向き合った。「太郎さんには古典に匹敵する栄養がある。コラボを通し、書で感じられなかった大切な感覚に気づけた。これに懲りずにまた太郎さんと“対決”したい」と話している。

A5判、128ページ。1800円(税別)。

 
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20111225/688540