「羽」EC Collection SS/23 「刷毛と筆」


「羽」 EC Collection SS/23 「刷毛と筆」

「刷毛(ハケ)」
筆以外の表現ツールの研究。


文房四宝の中で一つ選べというならば、私の場合、間違いなく「筆」である。

筆で表現するべきものは当然筆を使うのだが、どうも筆じゃない方が良いという場合、一度筆という選択肢を外してみる。

 

手や指、マスキングテープのみの表現、マスキングテープ&筆、、、

これまでいろんなツールに挑戦してきた。

今回の「羽」は、刷毛による表現から始まった。

筆の特性である柔らかさ、複雑な線質、無限とも言えるその表現機能も良いのだが、羽を描く上で、どこか硬質で切れ味良くどこか生き物の孤独感を感じさせるようなクールなタッチが欲しかった。


私の使う刷毛は、いつも柿沼オリジナル、自家製ハケ(企業秘密)。

薄く固めの個体にハサミやカッターで切り目を入れて作る。


この刷毛スタイルの表現は伝弘法大師空海の飛白体書の研究により編み出された手法である。

刷毛のようなものの表と裏側を交互に連動させながら繰り広げられるその描きぶりは、字に霊気を帯びたような雰囲気を醸し出す。一説によると“魔除け”とも言われている。


刷毛と墨による表現は以前「翔」という大きな作品で試し、発表した。




「翔」 刷毛書き


ECコレクションSS/23「羽」は、刷毛と光沢のあるアクリルインクの組み合わせによる初めての試み。

元々、刷毛手法の一本に絞っていたわけではなく、刷毛で描いた夜の翌日は筆で用い、また刷毛に戻り、筆に変わり、、、と自分の感覚を揺さぶり、そして楽しんだ

最終的に刷毛でも筆による表現でも良いものは良い。悪いものは悪い。

“飛べ!羽ばたけ!跳ねろ!バネ!バネ!バネだよ!飛んでけ!“

などと念じながら500枚ほど描いた。

制作を終え、一度脳の思考を全てリセットし2週間ほど経ったのちに自分にとって何の矛盾もないものを厳選した。


(EC作品説明)


羽を広げ飛び立つ鳥


「字は絵だろ」岡本太郎の言葉。

「羽」は、鳥の背の左右にある羽根の形から作られた象形文字です。

行草体で緩急や抑揚をつけて「羽」を描き続けていくうちに“大きく羽を広げ水面から飛び立つ鳥の姿”と邂逅しました。

行草スタイルによる表現ですが、羽根の形という大本の字源とは違った新たな象形文字のような表現に辿り着きました。


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