マスキング・カリグラフィティー -その3-

 

 

 

四露死苦(よろしく)

自由

多負(タフ)

毎日正月

カガミハミルナ

ドン底

本気

中心

ふじさん

カラッポ

一番

飛べ

ゆとり

逆走

荒野

過剰

コマネチ

THIS IS ME

NOW

宇宙

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出るは、出るは、、、

止まらない、止まらない、、、

 

表現しながらこんなに楽しく感じるのは本当に久しぶりだ。

 

笑いすぎて、笑い泣きするほど、、、

 

これまで表現したいと思っていてメモ帳に貯めていた文字や言葉達。

それは、筆では表現仕切れなかったもの、また筆では表現したくなかった素材だった。

 

 

一見、文字デザイン、またはデザイナーがやりそうなことのように見えるかもしれない。

 

デザインの場合は、パソコンを使って何日間何ヶ月も加筆修正を繰り返し仕上げるのに対し、このマスキング作品、書作品ほどではないが制作時間が基本早い。

 

大きさや内容によって1時間かかるようなものもあるが、基本は10分前後で書の一回性の中で完成される。

 

私のマスキング作品一つ一つには、空間処理、間の取り方、全体構成、線質、呼吸など毛筆表現と同じの拘りとともに毛筆表現では出しえない“イタズラめいた”ものが込められている。

 

直ぐに読めるものもあれば、じっと見つめて考えているうちに最終的にはかなりの確率で読めるというのもこのスタイルのミソ。

 

 

(直線)

 

マスキングテープは普通に使えば両サイドは直線(厳密にはこの世に直線はないが)である。

 

直線は強い。

 

それも物凄く強いのだ。

 

それによって筆では表現しえない直線の軌跡が現れる。

 

 

(曲線)

 

曲線は柔らかく有機性を生み出す。

 

直線であるマスキングテープを曲線とした場合、どうしてもテープが捩れシワができてしまうが、逆にそれはまるで立体作品かのような表情を見せる。

 

このシワシワがまるで生き物の肌のようでとても美しい。

 

 

(チギリ)

 

テープを目指すべき長さに調整し千切る。

しゅーーー ビリ! しゅーーー ビリ! 

 

とテープの鳴き声を聴きながらこちらも

 

ウーウー オーオー エイ! ヤッ!

 

と息を合わせながら言葉や文字に命を吹き込む。

 

“千切り”は、“手当て”

 

どれだけの私の指紋が付いていることか、、、(笑)

 

カッターやハサミならば限りなく自分が思ったように美しく切ることができるだろう。

 

千切る場合、脳が腕や手首の筋肉を駆使し「テープを〜〜のように切りなさい」と司令を出しても、ほとんどの場合、自分が思ったように千切れてくれず、ほとんどが偶発的な産物となる。

 

それがなんとも味わい深く、そして創るという行為のふるさとを感じさせてくれる。

 

不本意だらけの千切った部分は、あたかも筆によってコントロールしきれない飛墨(飛んだ墨)のような気さえする。

 

 

直線の強さ、曲線の表情と皺や斑、制御不能で雑味に満ちたチギリ、PUNKめいた文字素材、、、

 

 

これらが相まって、私がこれまで何十年も作品化できなかった文字素材がこの世に生み出されることとなった。

 

 


 

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